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六月読んだ本のマトメ [読書&映画]

六月もフランス革命一色の月でございました。

でも、読んでいてわかったんですけど、

革命ってこれまでの既成の概念を根こそぎ全部覆していく行為だから

ある程度のところで終わらせたい、もうこれぐらいでいいや、と思っている人の通りにならなくて

ある程度改革ができた、と思っている人のさらに上を行っちゃう。

だから、昨日までは左翼でも、何か改革を成し遂げて終わりたいと思った瞬間に保守にまわって右翼。

右翼は新たに出てきた左翼にやられてしまう。

なんかいくところまでいって、あらかた全部革命家をギロチン送りにして

自滅したようにみえたところで、なんかどうでもいいような人間がうまい汁をすおうかな、と思った

ところでナポレオンが世の中を征服して終焉を迎えるんですね。

まだまだ読みたい革命の本があるので、たぶん7月も読書はフランス革命尽くしになると思います。

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共和政の樹立 (小説フランス革命)共和政の樹立 (小説フランス革命)感想


さすがにフランスは言葉の国。

革命家の圧倒的な迫力の演説が繰り広げられる。

ダントンの「大胆に、もっと大胆に、常に大胆に。そうすれば祖国は救われる」

マラーの「私に告発状を出されたらこの演壇で頭を打ち抜く。

これが祖国を救うために耐えた三年間にわたる苦しみの報いか」

そして真打のサンジュストの処女演説にして名演説。

「罪亡くして人は王たり得ない。なべて王とは反逆者であり、簒奪者なのだ」

すごいね~。ヤジも当然入るので、瞬発力も必要です。

ルイ16世の最期も潔かった。

最後の最後でやっぱりちょっと佐藤節が入るのがご愛敬。


読了日:6月30日 著者:佐藤賢一

ジロンド派の興亡 (小説フランス革命)ジロンド派の興亡 (小説フランス革命)感想


革命の花形役者はすべて出揃った。

だれが革命の主導権を握るのか。

つばぜり合いの様は読み応えがある。

価格の自由競争に熱心なジロンド派のやり方はどこかおかしいと思いつつ、

それを看破できず悶々と悩むロベスピエール。

ある都市で小麦粉が高騰しすぎて飢えた市民らが市長を惨殺する暴動が起きた。

ロベスピエールの怜悧な頭脳がひらめく。

どんな権利より、まず人間が生き延びる権利が一番優先されるべきなのだ。

今日の憲法三大原則のひとつ「基本的人権の尊重」が生まれた瞬間だった。

それぞれが胸に自分の理想を抱きつつ革命は進んでいく。


読了日:6月28日 著者:佐藤賢一

フランス革命と四人の女 (新潮選書)フランス革命と四人の女 (新潮選書)感想


福沢諭吉は「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」と

『学問のススメ』に著した。

しかしそれはダブルスタンダードであって、この「人」には女性は入っていない。

「女」は人でなく男の隷属物なのだ。そういうダブルスタンダードは洋の東西を問わず、

フランス革命期でも事情は同じ。この本に出てくる女はタイプは違えど、

聡明で、美しく、弁が立った。しかしそれゆえに、男である革命家に嫌われ、

徹底的に弾圧されてしまう。

しかもこういう抜きんでた女の真の敵は、残念なことというべきなのか、

無知で粗野で美しくない「女」なのだ。


読了日:6月25日 著者:安達正勝

十字架と三色旗――近代フランスにおける政教分離 (岩波現代文庫)十字架と三色旗――近代フランスにおける政教分離 (岩波現代文庫)感想


大革命によってフランスの社会が

いかにカトリック教会から分離されて世俗化されたかを説明している。

結構面白いテーマなのだが、文章と構成に多少難がある。

カトリック社会からライシテの移行だけでもなかなか理解しづらいので

もっと掘り下げて詳しく説明がほしかった。

あと、後半の部分にライシテついでに現代のフランスのムスリムの移民の話になると、

ちょっとテーマが広がりすぎてもたつく感がある。

突然、カタカナの専門用語が出て来るので、消化不良気味の箇所がたくさんある。

一般向けの学術書なのだから、もう少し親切でもよいのでは?


読了日:6月23日 著者:谷川稔

マラーを殺した女―暗殺の天使シャルロット・コルデ (中公文庫)マラーを殺した女―暗殺の天使シャルロット・コルデ (中公文庫)感想


本書はなぜシャルロット・コルデがマラーを暗殺したのか、

その原因を考察したものだが、そのほかにも革命当時の社会のありよう、

価値観などさまざまなことを読者に想起させる。

彼女は人一倍認証欲求が強く、英雄的行為によって何者かになりたい人間だった。

彼女の政治的センスはほとんどゼロに近くまさに勘違いから殺人に至ったのだが、

周りの人間はシャルロット唯一人の意志で暗殺を行ったと認めたものはいなかった。

革命は平等を説いているはいるがそれは男性にのみ限った話で、

当時は誰も女性が男性と同等の権利を持つと考える人間はいなかった。


読了日:6月20日 著者:安達正勝

フランス革命の志士たち―革命家とは何者か (筑摩選書)フランス革命の志士たち―革命家とは何者か (筑摩選書)感想


作者によれば『革命家とは流星のごときもの。

人々の毀誉褒貶を超えて人類の進むべき道を指し示し、

ひときわ輝かしい光芒を放って消えていく。

革命家とは神に愛でられし人々である。

新しい時代を切り開くことに全精力を傾注して生きるのは、

ごく少数の選ばれた人間にのみ許される特権的に恵まれた運命であった』とある。

ダントン、マラー、ロべスピエール、サンジュスト。

まさに彼らは革命の申し子だった。わかりにくいのが、

シエイエスの人生、そして総裁政府からナポレオンに移行するまでなのだが、

丁寧に描かれている。わかりやすい良書だ。


読了日:6月18日 著者:安達正勝


 

マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡感想


中野京子の独特の視点が秀逸。佐藤賢一や安達正勝の作品等と読み比べると

ルイ16世が暗愚に描かれすぎている。

国王は時々うつ状態に陥ったらしいから、ヴァレンヌで捕まったとき、

そこから脱出するという冷静な決断ができなかったのかもしれない。

どういう理由であれ、結局事実として予定より五時間遅れたのだ。

それが命取りになった。

読んでいるとサンジュストの「罪なくして王たりえない」という言葉が頭をよぎる。

財政が破綻していても己の威厳のためには惜しげもなく大金を使う。

民衆の逆鱗を買うようなデリカシーの欠如が革命の拍車をかけた。


読了日:6月15日 著者:中野京子

ルイ16世(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 3) (ガリマール新評伝シリーズ―世界の傑物)ルイ16世(ガリマール新評伝シリーズ 世界の傑物 3) (ガリマール新評伝シリーズ―世界の傑物)感想
巻末の『ルイ16世の生涯は、

歴史的パラドックスそのものである』とあるのは本当だと思う。

フランス王朝の歴代の王の中で彼ほど臣民のことを愛し、

自らを律してきた者はいないだろう。そんな彼が断頭台の露と消えてしまったのは、

もはや逆らいようのない宿命かもしれない。

どんなに国王が慈悲深く明晰な思考で人民に対応したとしてしても、

もはやフランス人民はその恩恵を屈辱としか感じられないのだろう。

どんなことでも、上の立場の人間から恵んでもらうのではなく、

自分の力で勝ち取ること、それこそが人民の望んでいたことなのだ。


読了日:6月11日 著者:ベルナールヴァンサン,鹿島茂

フランス革命 (図解雑学)フランス革命 (図解雑学)感想


内容は『物語 フランス革命』とほぼ同じ。

ただ詳細な図や地図が必ず載っていてさらに理解が深まる。

また「物語」はテルミドールのクーデターで終わっているが、

こちらはナポレオンの出現から失墜までなので、

総裁政府からなぜ執政政治・皇帝に移行するのかという経過を

きちんとたどることが出来る。

国王を処刑しても、結局国王の代わりに皇帝が出現したんじゃ

革命を起こした意味がないと思っていたがそうではない。

急進的な政治行動には必ず大きな振幅が生じる。

一見退行に見えるようでも、大きなスパンでみるとそれでも革命の意義は生きている。


読了日:6月9日 著者:安達正勝

マリー・アントワネットとフェルセン、真実の恋 (講談社+α文庫)マリー・アントワネットとフェルセン、真実の恋 (講談社+α文庫)感想


フェルセンが美男なのは真実だ。

が、ルイ16世は愚鈍の醜男ではない。

私が王妃ならどちらを愛するかと訊かれればルイ16世。

異国の美貌の貴公子の愛の告白を単に聞いている分には楽しい。

総じてフェルセンは「間の悪い男」だ。

ヴァレンヌ逃亡を計画し実行するにしろパリで迷子になってうろうろすることニ時間。

佐藤賢一の小説で国王が全く使えない男だと舌打ちしたというのはまんざら嘘ではない気がする。

ナポレオンに侮蔑されたのも、最後に祖国の王太子の葬列にド派手な格好をして民衆の怒りを買い、

惨殺されるのもむべなるかなと思うのだ。


読了日:6月7日 著者:川島ルミ子

物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)


読了日:6月7日 著者:安達正勝


 

フイヤン派の野望 (小説フランス革命 6)フイヤン派の野望 (小説フランス革命 6)感想


国王逃亡失敗の後、それぞれの思惑がフランス国内を駆け抜ける。

これ以上革命を進めたくない人間たちはジャコバン・クラブから離脱し、

フイヤン・クラブを設立。

しかし、ロベスピエールは逃亡を図った国王にきちんと裁判を受けさせ責任を取って廃位させ、

かつ、さらに平等な世の中にしたいと望んでいた。

二派の対立が強まる中、戦争への機運が高まる。戦争をするのが吉とでるか凶とでるかは

本当にやってみなければわからない。

今は袂を分かったかつての仲間である、バルナーブが政治家から足を洗って故郷へ帰ると

ロベスピエールに挨拶に来たが…。


読了日:6月5日 著者:佐藤賢一

王の逃亡 (小説フランス革命 5)王の逃亡 (小説フランス革命 5)感想


この巻の主人公はルイ16世、

彼は優れた国王の資質をもっているが

時代はすでに国王を必要としていなかったようだ。

あまりにも侮蔑的なパリでの生活に国王は巻き返しのため一旦国外に出る決意をする。

ヴァレンヌ逃亡の場面の結末は知っているが、

いつもハラハラして読んでしまう。

逃亡に際して、決定的な間違いがあったとすれば、

それは手助けをする人間の人選を誤ったこと。

その人間とはフェルセン。彼ほどとことん使えない男もいなかった。

愚鈍なイメージの国王だが、逃避行での役人との応酬は見事。

だが王もどことなく滑稽に見えるのが憐れ。

読了日:6月3日 著者:佐藤賢一

議会の迷走 (小説フランス革命 4)議会の迷走 (小説フランス革命 4)感想


議会は聖職者民事基本法を巡って大荒れに荒れる。

粘りに粘ってルイ16世に批准させた法案だが、

ほとんどの司祭は宣誓をしなかった。

折も折、議会の、革命の第一人者と目されていたミラボーの病が重篤になった。

ミラボー亡き後革命を先導していくのは誰か。

司教でありながら無神論者で幼稚なプライドゆえに自分だけが可愛いタレイランか。

あるいは徹底した理想主義者で妥協することを知らないロベスピエールなのか。

ミラボーが最期に「欲の無いものが理想に走ると正しいことをしているという自信から、独裁者に陥る」

という言葉が身に染みる。


読了日:6月1日 著者:佐藤賢一


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