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革命のあだ花 テレジア・カバリュス  [ちょっとした考察]

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さてここのところ、ものすごい勢いで拙ブログの「テロワーニュ・ド・メリクール」のアクセス数が増えております。

みんなこんなふうなお話が好きなのかな~?

というわけで、今回ご紹介する方はこの方です!

じゃ~ん、彼女こそはタリアン夫人こと、テレジア・カバリュス、

テレーズ・カバリュスのほうが正しいのか、

ま、要するにスペイン語読みかフランス語読みかの違いですね。

彼女は非常に美しく、

「テレジァはサロンに昼と夜を作る。彼女自身には昼を、他のものには夜を」ということで、

つまりは彼女が非常な美女だったので、彼女ばかりが光かがやいてみえて、

他の女はかすんでしまったということですね。

ふうん…ですよね。

わたしがこの人を最初に知ったのは、藤本ひとみの小説です。

令嬢テレジアと華麗なる愛人たち

令嬢テレジアと華麗なる愛人たち

  • 作者: 藤本 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 単行本

ふ、この表紙、サージェントですよ。あ、まぁそんなことはどうでもいいことですが…。

この小説面白いは面白いんですが、結構そのテレジア・カバリュスが

本当に歴史上に登場して活躍した時代とずれておりまして、

彼女がローティーンからハイティーンぐらいまでを描いたものなのですが、

ま、どういうのかな、けっこうすごい話なんですよね。 笑

彼女はスペインの銀行家の娘でして、

14歳のとき、フォントネー侯爵っていう人と結婚するんです。

それがちょうどフランス革命前夜と重なるんですね。

で、まぁ世間では貞女で品行方正なのが正しいと思っているのかもしれないけど、

しかしそういうのは一種の欺瞞であって、

自分が望むように恋をして、自分が望むように男とアバンチュールを楽しむのも

いっそのこと正直でいいではないの、という話なんですね。

しかし…つやっぽいお話が得意の藤本さんもどういうわけか

このときばかりはすごすぎて、話のストーリーなんかはどうでもいいかな、ってくらい

性的描写がすごい…!

後にやっぱりこれは漫画化されておりました。

でも、漫画に比べるとやっぱり小説のほうが何倍も上品かな。

不品行なことを書いているけど、品が下らないのはやはりさすがです。

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まぁ、小さい時からませた女の子で、しかも抜群に美しかったから、

初体験も早くて、12歳。(ほんとかどうかは不明)

で、14歳で結婚。

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革命が起こり、夫とともにボルドーへ逃れ、そこで夫とは離婚。

夫は亡命するも、テレジアはボルドーにとどまるのです。

テレジアにとって、貴族の矜持とかどうでもいいことですし、

(もともと彼女はブルジョワの出)

それに自由平等とかそんなのどうでもいい、毎日がたのしけりゃそれでいい。

初めはボルドーのジロンド派の革命委員の人と仲良くなって、

首を切られそうになった人に色仕掛けでもって、革命委員にかけあっていたのですが、

まぁそれもだいそれた気持ちからではなく、

単に親しくしていた人を見過ごせない、そんな気持ち。

でもそうやって革命家のタリアンといい仲になっていたのだけれど、

いつしかテレジアも反革命という科でとらえられてしまって、

ギロチンを待つ身になってしまったのでした。

でも、ここに歴史の偶然がはたらいたというべきなのか、

彼女が獄中でタリアンに、自分をここから救出してくれ、って手紙を書くことによって、

タリアンはいざという時の火事場のバカ力的なパワーで

恐怖政治でバカスカ首を切りまくっていたロベスピエールとサン・ジュストを、

追い落とすことに成功するんですね~。

タリアンはこの、恐怖政治を終わらせたという一点において、偉大であり、

歴史に名を刻むことが出来たのです。

で、まぁタリアンをそのようにクーデターに走らせることができたのも

要するにテレジアの美貌のお蔭ということで、

世間はテレジアのことを、「テルミドールの聖母」ともてはやしたのでした。

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ハイ、結構長かったですが、ここまでは前振りです。

テレジアの偉大だったこと、それは首を切られちゃったマリー・アントワネットに代わって

その時代のファッション・リーダーになったことです。

彼女は結構スタイルがよく、そして時代は新古典主義な時代ですね。

で、ギリシャ風の、ギリシャ風だけど、スッケスケの生地でコルセットもなんにもしないで

すっぽんぽんの裸の上からそのスッケスケの悩殺ネグリジェのようなドレスを着たのです。

もう、裸であるいているよりタチが悪いよね、こういうの。

で、彼女は本当にギロチンにかかる一歩手前でしたので、

見苦しくないように自分で髪の毛を切っていたんです。

というのも、ギロチンにかける場合、髪の毛が邪魔になるので、たいてい

処刑人にザクザク髪の毛を切られちゃうんですね。

テレジアはおしゃれ番長でしたから、そういうのには耐えられない。

で、せめて髪の毛を短く切っても、見苦しくないようにと

自分で工夫して髪の毛を切ったそうです。えらいな。

こういうところが、西洋の美女の偉大なところだと思うのね。

ま、それはともかく、このヘアスタイルがまた妙に似合っていたそうです。

で、窮地から脱出してサロンに出現するようになっても、すぐ髪の毛がながくなるわけじゃないので

その髪の毛とすっぽんぽんドレス、そしてサンダルで出現したのですね。

すると世の中、その悩殺ドレスが流行りに流行って、

みんな伊達の薄着なもんだから、風邪ひいちゃって死者続出だったらしいよ。

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とまぁ、このように恐怖政治によって息をつけないような世の中から

一気に享楽的な世の中が出現し、その時代の雰囲気を正確にかぎ取って

その時代の寵児になったということが、テレジアの特筆すべきところかな。

はい、そしてもう一点。

彼女は「あげまん」ならぬ「さげまん」だったということ。

彼女は男を育てるということができない女だったのです。

タリアンにしろ、バラスにしろ、彼女とくっついたころは

世間のトップにいたんですね。

完成品ばかりを欲しがる女だったのです。

で、テレジアは、そういう傑物を見抜く伯楽であったなら、

絶対に将来、ナポレオンの妻として皇后の冠を頭上に掲げていたはずなのです。

しかし~、彼女は見る目がなかったのですね。

ナポレオンも美貌の彼女に一度は口説いたんです。

ですが、そのときはイタリアに侵攻していて強い将軍といっても、

そのときは無名の26歳の若造だったんです。

で、見栄えのしない小男なんか願い下げだわ、といって洟も引っ掛けないかった。

それが後々の禍根の原因です。

ナポレオンもプライドが高いので、絶対にこのテレジアの仕打ちを忘れませんで、

彼女が零落していても、決して助けようとはしなかったのです。

反対に、ですね。

ジョゼフィーヌ。彼女も内心、ナポレオンと結婚するときに、

え、こんな男? いやだなぁ~とは思ったんですが、

当時彼女はナポレオンより六つ年上の32歳。

それに二人の子持ちの未亡人。

他に選択がなかったのですね。

仕方なく結婚。

なんというのかな、テレジアは当時まだ21歳。

まだ青臭くて生意気だったんでしょう。

男だったら神でさえわたしの美貌でひざまずかせて見せる、と思っていたかも。

一方、ジョゼフィーヌはまぁ、「足るを知る」女だったのですよ。

わたしもこれぐらいで御の字だと思っていないと…。

この気持ちですね、これが二人の運命を決定的に明暗に分けたのです。

ですがね、彼女はなんていうの、男をいっちょまえに育てる能力っていうのがあったんです。

あとね、態度が非常に優しくて優雅だった。

テレジアも好きじゃない男を断るにせよ、

やはりね、男のプライドを傷つけないようにやんわりと優しくすべきだった。

ジョゼフィーヌもね、最初のころはナポレオンをさっさとイタリアへ追いやって、

若い恋人と浮気していたんだけど、まぁ、でもあからさまな態度には出さないようには

気を付けていたのかも(いや、ナポレオンがぞっこんだったからなのかも)

癇性なナポレオンにすげなく追い返された人も

皇后ならわかってくださる、とよくとりなしてもらおうとジョゼフィーヌのところへ

頼みに行ったものなのです。

結局、ナポレオンは自身の子供が望めない、という理由でジョゼフィーヌとは離縁しましたが、

そのかわり、彼女には何不自由ない生活を死ぬまで保証していました。

やはり、ナポレオンは優しくておおらかなジョゼフィーヌを愛していたということです。

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テレジアとジョゼフィーヌは獄中では仲良しでした。

その後も仲良くしていました。

しかし、昼と夜を作る、とほめたたえられたテレジアも

その栄光はナポレオンが世に出るまでのほんの短い間で

あとは内心バカにしていたジョゼフィーヌの世の中になってしまっていた、ということなのです。


メアリー・カサット展へ行ってきました! [芸術]

久々に美術展へ行ってまいりました。

このメアリー・カサット展は京都近代美術館で開催されていたんですが、

反対側の京都市美術館にふと目をやると、

長蛇の列が!

むむむ?思ったら『伊藤若冲展』でした。

わたしねぇ、とにかく並ぶのがキライなんですよね。

伊東若冲そんなに魅力的かな~。ま、いいけど。

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裏のほうでサージェントのお話を掲載させてもらっていますが、

そのころ、ほとんどこういった類の画集は皆無でした。

だから資料は全部洋書で買って、読んでました。

本当は、同時期のホイッスラーとこのメアリー・カサットの三人をセットにして

『パリのアメリカ人画家』でお話を書いたら面白かろうに、とはひらめきはしたんですが、

もう英語を読むのがどうにも苦痛というか、また洋書だから高いんですよね~。

それにしても、あの頃、ホイッスラーもサージェントももちろんこのカサットにしろ、

画集もなにもなかったことを思えば、ああ、時代が変わったのかなぁとも思います。

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さて、ですね。

カサットって一見、子供とおかあさんを描いていて

そこに別に難しさがないので、とてもとっつきやすい画家さんなのかな、と思うんですが

今にしてみると、めちゃくちゃドライポイントがうまい。

つまり、描線がきれいなんですよね~。

女の人は、色には強いけれど、形には弱い、ってのは昔からの通説でございまして

それは確かにその通りなんだろうとおもうけど、

この方は、その昔のアルテミシア・ジェンテレスキなみに上手いです、デッサン。

そして、デッサンが上手いばかりでなく、色彩もメリハリがあって

非常絵自体に迫力がありますですね。

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言われていることわからない、というムキもあるかとおもいますが、

例えば、同時代のフランスの女流画家のベルト・モリゾなんかと比べてみると

morizo.jpg(ベルト・モリゾの絵です)

その卓越した力強さがわかってもらえるように思います。

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このくらい上手ければ、男の人にもひけはとらないと思いますが、

彼女はエコールデボザールの入学を断られるんですよね、女だからという理由だけで。

本当にしんどい時代だと思います。

それでも、めげずに素晴らしい絵を次々と描いた彼女は

やっぱり優れた先達と言えるでしょうね。

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熱狂させるヴァイオリン! 『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』 [読書&映画]

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さて、昨日、Amazonプライムにて

さまよっていると、

突然、この映画が現れました。

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この映画の一番のウリはなんといっても

主役を務めるパガニーニに、本物のヴァイオリニスト、兼 モデルという

天は人に二物以上与えてしまった稀有な存在、

ディビッド・ギャレットを配したことにありそうです。

映画の中でパガニーニ扮する彼が、

五億円という名器を使って吹き替えではなく、本物の超絶技巧を堪能できるというのも、

ひとつのウリであります。

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彼の技巧とパフォーマンスは、現代の女性も十分にきゃーきゃーと熱狂させるものが

あると思います。まるで映画かれ方は19世紀のロックスターのようでした。

そして、このディビッド・ギャレット自身の演奏が、映画のように

こんなド派手なパフォーマンスをするのかどうかわかりませんが、

非常にこう、なんていうんですかねぇ、かっこよいんですよ。

長い腕と指を存分に生かしたダイナミックな演奏はロマンティックでしかもセクシー。

また、こういう現代に通じる恰好よさというのは

やはりダンディズムが台頭していきた19世紀のものだなぁと思うんです。

昔のヨーロッパってシンメトリーが好きで、そういう意味からも

こんなヴァイオリンというものは受け入れられなかったと思うんですね。

またアンシャンレジームのヨーロッパというのは

こういうふうに人前で激情に駆られるようなプレイというのは

かなり不謹慎というか、かっこ悪いものだと認識されていたような気がします。

時代はロマン主義に入りまして、やはりこういうアシンメトリーの美が

もてはやされるようになっていくんでしょうね。

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美しさというのは、こんなふうにその時代の人々の集合的無意識にも

支えられているもんなんだ、とつくづく思いました。

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