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クラーナハ! [ちょっとした考察]

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この間、ちらりと日曜の朝、NHKの『日曜美術館』を見ていたのだが、この回はクラーナハだった。

う~ん、いつから「クラーナハ」と表記しだすようになったのだろう?

わたしが教えられたのは「ルーカス・クラナッハ」だったのに…。

今は「ルカス・クラ-ナハ」なんだそうだ。

ま、ドイツは全く解りませんので、「そうなんですよ」と言われたら「そうなんですか」って返すしかないんですけどね。

それでクラーナハといえば…わたしは『エロイカより愛をこめて』のエーベルバッハ少佐をすぐに連想してしまう。

この少佐渾名を「鉄のクラウス」とおっしゃいまして、軍人ですが、なんていうのかな、芸術音痴な方なのです。

で、美術品マニアの怪盗であるエロイカことグローリア伯爵は目利きなので

すぐに「これは〇〇時代の〇〇だ!」ってウンチクを垂れ流して喜ぶのですが、

少佐はうんざり。

ルーベンスあたりの絵になると「三段腹のおばはんが白目をむいている絵だ。不健康な絵だな。ダイエットをしたほうがいい」というのに対して、必ずこのクラーナハの絵が出て来るんですね。

少佐いわく「発育不全の小娘の絵なんか見てなにが楽しい…」なんですよ~。

でもそれはとりあえず、プロポーションからみるとその評は本当で、

上半身はいやに貧弱です。

で、わたし、なんか昔からこのクラーナハの絵は好きじゃないんです。

で、話は元に戻りますが、

日曜美術館の司会はNHKの女性アナウンサーの方と俳優でクリエイターの井浦新がやっておられますが、

途中でドイツ文学者で最近は「怖い絵」シリーズで有名な中野京子さんが出られたのです。

で、その前にもエライ画家の先生なんかがコメントしておられて、

「少しフェティッシュなものも感じられますねぇ~」と本音をオブラートに包むように仰っておられたのに対し、

京子先生は「変態ですよね!」と一刀両断!

たじろぐアナウンサーさんと井浦さん。

「え? ええ、 ヘンタイ、ヘンタイチックですよねぇ~。なんというかこのぉ~」

と必死になって中野さんをフォローしようとしていて、慌てふためているリアクションがなかなか面白かった…。

最近のNHKはスポンサーがいないせいかなかなか強気です。


革命のあだ花 テレジア・カバリュス  [ちょっとした考察]

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さてここのところ、ものすごい勢いで拙ブログの「テロワーニュ・ド・メリクール」のアクセス数が増えております。

みんなこんなふうなお話が好きなのかな~?

というわけで、今回ご紹介する方はこの方です!

じゃ~ん、彼女こそはタリアン夫人こと、テレジア・カバリュス、

テレーズ・カバリュスのほうが正しいのか、

ま、要するにスペイン語読みかフランス語読みかの違いですね。

彼女は非常に美しく、

「テレジァはサロンに昼と夜を作る。彼女自身には昼を、他のものには夜を」ということで、

つまりは彼女が非常な美女だったので、彼女ばかりが光かがやいてみえて、

他の女はかすんでしまったということですね。

ふうん…ですよね。

わたしがこの人を最初に知ったのは、藤本ひとみの小説です。

令嬢テレジアと華麗なる愛人たち

令嬢テレジアと華麗なる愛人たち

  • 作者: 藤本 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 単行本

ふ、この表紙、サージェントですよ。あ、まぁそんなことはどうでもいいことですが…。

この小説面白いは面白いんですが、結構そのテレジア・カバリュスが

本当に歴史上に登場して活躍した時代とずれておりまして、

彼女がローティーンからハイティーンぐらいまでを描いたものなのですが、

ま、どういうのかな、けっこうすごい話なんですよね。 笑

彼女はスペインの銀行家の娘でして、

14歳のとき、フォントネー侯爵っていう人と結婚するんです。

それがちょうどフランス革命前夜と重なるんですね。

で、まぁ世間では貞女で品行方正なのが正しいと思っているのかもしれないけど、

しかしそういうのは一種の欺瞞であって、

自分が望むように恋をして、自分が望むように男とアバンチュールを楽しむのも

いっそのこと正直でいいではないの、という話なんですね。

しかし…つやっぽいお話が得意の藤本さんもどういうわけか

このときばかりはすごすぎて、話のストーリーなんかはどうでもいいかな、ってくらい

性的描写がすごい…!

後にやっぱりこれは漫画化されておりました。

でも、漫画に比べるとやっぱり小説のほうが何倍も上品かな。

不品行なことを書いているけど、品が下らないのはやはりさすがです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まぁ、小さい時からませた女の子で、しかも抜群に美しかったから、

初体験も早くて、12歳。(ほんとかどうかは不明)

で、14歳で結婚。

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革命が起こり、夫とともにボルドーへ逃れ、そこで夫とは離婚。

夫は亡命するも、テレジアはボルドーにとどまるのです。

テレジアにとって、貴族の矜持とかどうでもいいことですし、

(もともと彼女はブルジョワの出)

それに自由平等とかそんなのどうでもいい、毎日がたのしけりゃそれでいい。

初めはボルドーのジロンド派の革命委員の人と仲良くなって、

首を切られそうになった人に色仕掛けでもって、革命委員にかけあっていたのですが、

まぁそれもだいそれた気持ちからではなく、

単に親しくしていた人を見過ごせない、そんな気持ち。

でもそうやって革命家のタリアンといい仲になっていたのだけれど、

いつしかテレジアも反革命という科でとらえられてしまって、

ギロチンを待つ身になってしまったのでした。

でも、ここに歴史の偶然がはたらいたというべきなのか、

彼女が獄中でタリアンに、自分をここから救出してくれ、って手紙を書くことによって、

タリアンはいざという時の火事場のバカ力的なパワーで

恐怖政治でバカスカ首を切りまくっていたロベスピエールとサン・ジュストを、

追い落とすことに成功するんですね~。

タリアンはこの、恐怖政治を終わらせたという一点において、偉大であり、

歴史に名を刻むことが出来たのです。

で、まぁタリアンをそのようにクーデターに走らせることができたのも

要するにテレジアの美貌のお蔭ということで、

世間はテレジアのことを、「テルミドールの聖母」ともてはやしたのでした。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ハイ、結構長かったですが、ここまでは前振りです。

テレジアの偉大だったこと、それは首を切られちゃったマリー・アントワネットに代わって

その時代のファッション・リーダーになったことです。

彼女は結構スタイルがよく、そして時代は新古典主義な時代ですね。

で、ギリシャ風の、ギリシャ風だけど、スッケスケの生地でコルセットもなんにもしないで

すっぽんぽんの裸の上からそのスッケスケの悩殺ネグリジェのようなドレスを着たのです。

もう、裸であるいているよりタチが悪いよね、こういうの。

で、彼女は本当にギロチンにかかる一歩手前でしたので、

見苦しくないように自分で髪の毛を切っていたんです。

というのも、ギロチンにかける場合、髪の毛が邪魔になるので、たいてい

処刑人にザクザク髪の毛を切られちゃうんですね。

テレジアはおしゃれ番長でしたから、そういうのには耐えられない。

で、せめて髪の毛を短く切っても、見苦しくないようにと

自分で工夫して髪の毛を切ったそうです。えらいな。

こういうところが、西洋の美女の偉大なところだと思うのね。

ま、それはともかく、このヘアスタイルがまた妙に似合っていたそうです。

で、窮地から脱出してサロンに出現するようになっても、すぐ髪の毛がながくなるわけじゃないので

その髪の毛とすっぽんぽんドレス、そしてサンダルで出現したのですね。

すると世の中、その悩殺ドレスが流行りに流行って、

みんな伊達の薄着なもんだから、風邪ひいちゃって死者続出だったらしいよ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とまぁ、このように恐怖政治によって息をつけないような世の中から

一気に享楽的な世の中が出現し、その時代の雰囲気を正確にかぎ取って

その時代の寵児になったということが、テレジアの特筆すべきところかな。

はい、そしてもう一点。

彼女は「あげまん」ならぬ「さげまん」だったということ。

彼女は男を育てるということができない女だったのです。

タリアンにしろ、バラスにしろ、彼女とくっついたころは

世間のトップにいたんですね。

完成品ばかりを欲しがる女だったのです。

で、テレジアは、そういう傑物を見抜く伯楽であったなら、

絶対に将来、ナポレオンの妻として皇后の冠を頭上に掲げていたはずなのです。

しかし~、彼女は見る目がなかったのですね。

ナポレオンも美貌の彼女に一度は口説いたんです。

ですが、そのときはイタリアに侵攻していて強い将軍といっても、

そのときは無名の26歳の若造だったんです。

で、見栄えのしない小男なんか願い下げだわ、といって洟も引っ掛けないかった。

それが後々の禍根の原因です。

ナポレオンもプライドが高いので、絶対にこのテレジアの仕打ちを忘れませんで、

彼女が零落していても、決して助けようとはしなかったのです。

反対に、ですね。

ジョゼフィーヌ。彼女も内心、ナポレオンと結婚するときに、

え、こんな男? いやだなぁ~とは思ったんですが、

当時彼女はナポレオンより六つ年上の32歳。

それに二人の子持ちの未亡人。

他に選択がなかったのですね。

仕方なく結婚。

なんというのかな、テレジアは当時まだ21歳。

まだ青臭くて生意気だったんでしょう。

男だったら神でさえわたしの美貌でひざまずかせて見せる、と思っていたかも。

一方、ジョゼフィーヌはまぁ、「足るを知る」女だったのですよ。

わたしもこれぐらいで御の字だと思っていないと…。

この気持ちですね、これが二人の運命を決定的に明暗に分けたのです。

ですがね、彼女はなんていうの、男をいっちょまえに育てる能力っていうのがあったんです。

あとね、態度が非常に優しくて優雅だった。

テレジアも好きじゃない男を断るにせよ、

やはりね、男のプライドを傷つけないようにやんわりと優しくすべきだった。

ジョゼフィーヌもね、最初のころはナポレオンをさっさとイタリアへ追いやって、

若い恋人と浮気していたんだけど、まぁ、でもあからさまな態度には出さないようには

気を付けていたのかも(いや、ナポレオンがぞっこんだったからなのかも)

癇性なナポレオンにすげなく追い返された人も

皇后ならわかってくださる、とよくとりなしてもらおうとジョゼフィーヌのところへ

頼みに行ったものなのです。

結局、ナポレオンは自身の子供が望めない、という理由でジョゼフィーヌとは離縁しましたが、

そのかわり、彼女には何不自由ない生活を死ぬまで保証していました。

やはり、ナポレオンは優しくておおらかなジョゼフィーヌを愛していたということです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

テレジアとジョゼフィーヌは獄中では仲良しでした。

その後も仲良くしていました。

しかし、昼と夜を作る、とほめたたえられたテレジアも

その栄光はナポレオンが世に出るまでのほんの短い間で

あとは内心バカにしていたジョゼフィーヌの世の中になってしまっていた、ということなのです。


メアリー・カサット展へ行ってきました! [芸術]

久々に美術展へ行ってまいりました。

このメアリー・カサット展は京都近代美術館で開催されていたんですが、

反対側の京都市美術館にふと目をやると、

長蛇の列が!

むむむ?思ったら『伊藤若冲展』でした。

わたしねぇ、とにかく並ぶのがキライなんですよね。

伊東若冲そんなに魅力的かな~。ま、いいけど。

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裏のほうでサージェントのお話を掲載させてもらっていますが、

そのころ、ほとんどこういった類の画集は皆無でした。

だから資料は全部洋書で買って、読んでました。

本当は、同時期のホイッスラーとこのメアリー・カサットの三人をセットにして

『パリのアメリカ人画家』でお話を書いたら面白かろうに、とはひらめきはしたんですが、

もう英語を読むのがどうにも苦痛というか、また洋書だから高いんですよね~。

それにしても、あの頃、ホイッスラーもサージェントももちろんこのカサットにしろ、

画集もなにもなかったことを思えば、ああ、時代が変わったのかなぁとも思います。

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さて、ですね。

カサットって一見、子供とおかあさんを描いていて

そこに別に難しさがないので、とてもとっつきやすい画家さんなのかな、と思うんですが

今にしてみると、めちゃくちゃドライポイントがうまい。

つまり、描線がきれいなんですよね~。

女の人は、色には強いけれど、形には弱い、ってのは昔からの通説でございまして

それは確かにその通りなんだろうとおもうけど、

この方は、その昔のアルテミシア・ジェンテレスキなみに上手いです、デッサン。

そして、デッサンが上手いばかりでなく、色彩もメリハリがあって

非常絵自体に迫力がありますですね。

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言われていることわからない、というムキもあるかとおもいますが、

例えば、同時代のフランスの女流画家のベルト・モリゾなんかと比べてみると

morizo.jpg(ベルト・モリゾの絵です)

その卓越した力強さがわかってもらえるように思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このくらい上手ければ、男の人にもひけはとらないと思いますが、

彼女はエコールデボザールの入学を断られるんですよね、女だからという理由だけで。

本当にしんどい時代だと思います。

それでも、めげずに素晴らしい絵を次々と描いた彼女は

やっぱり優れた先達と言えるでしょうね。

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熱狂させるヴァイオリン! 『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』 [読書&映画]

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さて、昨日、Amazonプライムにて

さまよっていると、

突然、この映画が現れました。

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この映画の一番のウリはなんといっても

主役を務めるパガニーニに、本物のヴァイオリニスト、兼 モデルという

天は人に二物以上与えてしまった稀有な存在、

ディビッド・ギャレットを配したことにありそうです。

映画の中でパガニーニ扮する彼が、

五億円という名器を使って吹き替えではなく、本物の超絶技巧を堪能できるというのも、

ひとつのウリであります。

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彼の技巧とパフォーマンスは、現代の女性も十分にきゃーきゃーと熱狂させるものが

あると思います。まるで映画かれ方は19世紀のロックスターのようでした。

そして、このディビッド・ギャレット自身の演奏が、映画のように

こんなド派手なパフォーマンスをするのかどうかわかりませんが、

非常にこう、なんていうんですかねぇ、かっこよいんですよ。

長い腕と指を存分に生かしたダイナミックな演奏はロマンティックでしかもセクシー。

また、こういう現代に通じる恰好よさというのは

やはりダンディズムが台頭していきた19世紀のものだなぁと思うんです。

昔のヨーロッパってシンメトリーが好きで、そういう意味からも

こんなヴァイオリンというものは受け入れられなかったと思うんですね。

またアンシャンレジームのヨーロッパというのは

こういうふうに人前で激情に駆られるようなプレイというのは

かなり不謹慎というか、かっこ悪いものだと認識されていたような気がします。

時代はロマン主義に入りまして、やはりこういうアシンメトリーの美が

もてはやされるようになっていくんでしょうね。

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美しさというのは、こんなふうにその時代の人々の集合的無意識にも

支えられているもんなんだ、とつくづく思いました。

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悪魔ですら「神の栄光」のために存在する。  『エクソシスト』 [読書&映画]

これまでの読書人生でベスト10の中に入る傑作中の傑作。

エクソシスト (創元推理文庫)

エクソシスト (創元推理文庫)

  • 作者: ウィリアム・ピーター ブラッティ
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1999/07
  • メディア: 文庫




 子供の頃、前評判があまりに恐ろしくて見られなかった映画だが、

悪魔に取り付かれた少女の恐ろしい変貌ばかりが独り歩きして

この作品の真の魅力を伝えられず、

理解されもしなかった。

これは実は愛のドラマである。

女優という最も今風な職業についている32歳の母親と12歳の娘。

無信仰の女優が、あらゆる治療を求めていきついた先が「悪魔祓い」。

そして悪魔祓いを頼まれる神父。これは本当に悪魔憑きなのか精神分裂病か、

精神科医でもある神父は悩みに悩む。読了後の感動の涙が半端ない。

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この小説の作者は実は神学校を出て

神父になるはずだったらしいですが、

やはりどうしても物書きになりたくて、

神父の道は断念したらしいです。

だから、といいましょうか、

ものすごいリアリティがあります。

私はエクソシストの本当の主人公は

悪魔にとりつかれた少女リーガンを看る

神父でもあり、悪魔学の第一人者で、また精神科医でもあり、

母校のジョージタウン大学で教鞭をとるデイミアン・カラス神父だと思います。

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ちょっとここで断っておかなきゃならないと思うので

いいますが、カトリック教会の神父になるというのは、

実は生半なことでは絶対になれません。

カトリックにはヒエラルキーがありまして、

神父は民衆を統率する将校の役割をします。

民衆をどんなに愚鈍でも迷信深くてもいい、

しかし神父はそうはいきません。

というのも、かなり神父になるには修養が必要で、 

高い教養と知識が必要だからです。

それをわかって読んでいるとかなり理解度が違うと思います。

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デイミアン・カラス神父は実は難民二世であり、ユダヤ人でもあります。

そして幼い頃はニューヨークのスラム街で育ちました。

しかしそんなバックグラウンドが全く感じさせないほどの

ルックスと雰囲気を持っています。

なんか読んでいて、政治学者の姜尚中サンを彷彿とさせるんですねぇ。

はじめ、リーガンは周りのものが「え?」っと思うような

穢い言葉を使うようになるんですね。

それがだんだんと大きくなり、そして家の中で超常現象が起こるようになり、

大きな精神病院で見てもらって、

「精神分裂病」ではないか、と診断されるのですが、

しかし、その精神分裂病とされる患者とは検査のデータ結果が違うのです。

さじを投げた担当主治医が「最後の手段で、効くかどうかは保証のかぎりではないけれども」

と条件をつけ、「カトリックの悪魔祓いをして過去によくなった症例がある」

というんです。

母親のクリスは32歳の今を時めく女優で、

もちろん信心に凝り固まった人間でもなく、

特定の教会に行くでもなく、

そういったものは、過去の迷信であるとして

一蹴してきた人物なのです。

ですが、事はここに及んで、彼女も娘のあまりに恐ろしい変貌、

くさい吐息、話の内容を聞いて、これは本当に悪魔がとりついているんだと、

確信に至るようになるのです。

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 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
一方のカラス神父ですが、

この人はそうおいそれと、悪魔祓いをしましょう~などとは言いません。

「奥さま、私が今まで見た症例で、悪魔が憑いていると思われたほとんどは

精神病です。お嬢さまもそれに違いないと思います」

となかなか悪魔祓いをしようとしません。

それに、やはり現代のカトリック教会はそういった迷信に非常に懐疑的で

悪魔祓いをしたことに対して世間の風評をものすごく気にするのです。

ですから、二重三重にやりたがりません。

カラス神父は「もし、悪魔祓いをするならば、

法王庁がそれと認める決定的な証拠というものを、きちんと提出しなければなりません」

その中にはいろいろと複雑な要項が出て来るのです。

本人が知りえない事実を知っている、であるとか、

本人が扱えない、例えば古いギリシャ語やアラム語などが使えるとか

そういった事項は、やはりリーガンの中から出てきます。

悩んでいる中で、悪魔はリーガンに睡眠をとらせようとしないし、

ものを食べさせようとしないので、次第に衰弱していきます。

カラス神父は悪魔に「何が望みだ?」だ尋ねると

「この雌豚の死だ!」というのですねぇ。
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ここにきて、カラス神父は決断します。

大司教に悪魔祓いをすることを許可を得ます。

すると悪魔祓いを過去に行ったことがあるベテランの神父と一緒に

行えという通達が来るのです。

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しかし悪魔はなかなかしぶとく、リーガンの身体から去っていきません。

あまつさえ、先輩神父のペリン神父も悪魔祓いの途中で

心臓麻痺を起こして死んでしまうのです。

「この雌豚はおれのものだ!」

と狂喜している悪魔に向かって、いつでも冷静だったカラス神父は切れます。

「なんだ!お前は! そんな小さくて弱い女の子供にとりついてなにが楽しい?

おまえの力はそんなもんじゃないだろう? どうせなら大の男であるおれについて見せろ!」

と叫ぶのです。

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愛の瞬間ですね~。

カラス神父は、理性的にそういったわけじゃないんですよ。

そして、カラス神父は悪魔が少女の身体から去って、自分にとりついたと悟った瞬間に、

自ら悪魔と一緒に二階から飛び降りるのです。

う~ん、殉教ですね。

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昔、子供のころ、お化けがいるのであれば、あの世があると思って

妙に安心したことがあります。

死んで無になるよりは、悪魔でもおばけでもいいから

いるほうがいい、と思ったのです。

私は小さいころ、クリスチャンの家庭に育ったので、

牧師さんに聞いたことがあります。

「どうして世の中には、不幸な人や、体の悪い人がいるのですか?

神さまが全能なのであれば、どうしてエデンの園に人間を試すように

禁断の木の実などを植えるのでしょう?

神さまは意地悪ですね、と」

牧師さんはこうおっしゃいました。

「世の中のありとあらゆる出来事は、一切が神さまの栄光を表すために

存在しています。


それがわたしたちの眼からみてどんなに悲惨なことであろうとも、

それは神さまの愛から出たことなんですよ。

あなたもいつか、その大きな愛というものに気が付くことができるでしょう」

とわかったようなわからないようなことをおっしゃいました。

しかし、本書を読むと当時、子供の私に真摯に答えたくれた

牧師さんの言葉が頭によぎります。

本書はリーガンが悪魔にとりつかれてから、三人の男性が死んでしまうのですが、

そういった悲惨さの影に、どれだけの人間が深い思いで、

必死になってその少女から悪魔を取り去ってやろうと腐心しているかが

わかるのです。

現代の世の中において、神はともすれば共有する「愛」を人間に思い出してほしくて

こういった荒業をやってのけるのか、と思ったりするのです。

無関心ほど愛から遠いものはありませんから。

コレスポンデンス ある天文学者の恋文 [読書&映画]

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ただいま上映中の映画ですので…。

主演はジェレミー・アイアンズとオルガ・キュリレンコ。

どっちも大好きな俳優さんです。

ジェレミー・アイアンズは昔からこうちょっとセクシーな俳優さんでしたが、

お歳を召してからますます、って感じですかね?

オルガ・キュリレンコもすごく美しい人なんだけど、どこか温かみのある

優しい表情がとても印象的でした。

あと、映画を見ていて思いましたが、

スマホが普及し、ラインが出来上がったことで

あっというまに世界共通のコミュニケーション・ツールが浸透して

人の反応というか、世界が同時進行でやることが同じっていうのがある意味すごいな、と。

これがちょっと前でしたら、例えば007の『カジノロワイヤル』の劇中のヴェスパーが

ケータイを持っていても、日本仕様とは違うので、ガイコクって雰囲気を感じることができましたが、

いまや世界中、着信音までが一緒だという…。

ある意味で驚きです!

この話は、そういうツールを駆使して

応答し合う愛の物語ですね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とまあ、これから見に行こうという人はここまで、です。

ネタばれありです。。。 

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惣領冬実の「マリー・アントワネット」(裏ブログとは違うよ) [読書&映画]

9月23日に発売だった

惣領冬実の「マリー・アントワネット」

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アマゾンで買おうとしたら、どういうわけか予約なのか送料の350円かかるっていうんで

ふつうのお店でダーリンに買ってもらいました(極端な出不精なんだな~)

やっぱり前々から、私が言っていたとおり、

王さまはすごいイケメンに描かれていた!

まるで「MARS」のレイちゃんのようでした…。

そこまでかっこよくせんでよいいのにというくらい、ハンサムでございました。

冒頭の大人になった王妃さまのお顔っていうのが

なんとなく、今フランス映画で引っ張りだこのカトリーヌ・フロに似ているような気がして~。

ヴェルサイユ宮殿監修っていうのがすごいです。

絵がやっぱり現地で取材してきたのは違う!って感じで

本当に詳細に描かれていた。

しかし、プチ・トリアノンの館の内部の詳細っていうのは、

いわゆるこのころのフランス貴族の一典型ではないかと思うのですね。

それは、「ベルサイユのばら」の外伝に載っていたジャルジェ家の構造とも

基本的には全く同じだし、

この間見た、ベルギーかオランダ貴族のお話の映画

「素敵なサプライズ」に出てきたお屋敷の内観ともそっくりでした。

白黒でできた格子柄の床。それも斜めに走らせるのがヨーロッパですね。

そして、瀟洒な透かし模様の入った片翼だけの階段。

う~ん、いいですね。

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マリー・アントワネットはなんていうのかな、

死んで名を挙げた人ですよね。

生きているうちは、罵詈雑言の嵐でしたが。

ルイ16世は、長らくツヴァイクの伝記が世の中に浸透していたせいで

デブでチビで愚鈍な王様と誤解されていましたが、

全くの逆で、ものすごく名君だったんですよ、

世の中を改革しなければならない、と思っていたから

結果的に革命が成功できたんであって、

暴君だったら、1789年の7月14日に

民衆を徹底的に痛めつけることもできたんですね~。

ナポレオンは案外非道でして、大砲に「ぶどう弾(散弾のこと)」を入れて

虐殺することもいといませんでしたが、

ルイ16世さまは、やはり最後まで使わなかったとか。

(知らないから使わなかったわけじゃないよ)

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マリー・アントワネットとフェルセンの恋ってものすごく有名ですが、

これも結局、学者たちの間では意見の分かれるところで

フェルセンは単なる王妃様の取り巻きのリーダーに過ぎないという意見や

王さまがあまりに頭が切れるので、息抜きにバカっぽいフェルセンとの会話を

楽しんだんじゃないかっていう説もあり、

中野京子さんなどは「ロココの時代というものを考えてみると、肉体関係がなかった、ってことが

不自然」ともおっしゃっていて、決定打には欠けるところです。

ただ、わたくしが思うに、

案外、この夫婦はあっさりしていて、ドロドロの不倫を楽しむタイプではなく、

ちいさな家庭の幸せを大事にしていた、とも思えたりするんですよね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

しかし、本は「え? これで終わりなの?」って感じで

面白いのに、すぐおわちゃった、続きはないの?って感じ。

だけど、「チェーザレ」も11巻でずっと止まっているし、

早く先が読みたいんですよ~。

わたくしが死ぬまでには全部読みたいです。

惣領センセ、頑張って。


自分的激萌え映画   『デュエリスト 決闘者』 [読書&映画]

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最近、ちょっと暑かったせいか、(京都の夏は半端なく暑い!)

精神的にも肉体的にも、しょぼ~~んとして辛くて、

大好きな映画も見られずじまいでしたが、

ここんとこ、少し回復して、フールーで楽しんでおります。

そして!!

 なぁんとタイムリーなことに、

自分的激萌え映画を見てしまいました!

タイトルは『デュエリスト(決闘者)』

どこに萌えるかというと、それは、それは!!

時代がナポレオン時代の騎兵隊の話なのです!!

わ~い! 

あの時代の軍服大好きな人間にしたら、よだれが垂れるほど

素敵な映画でした!

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騎兵隊の将校さんは、乙女のあこがれ。
いつでもどこでも、モッテモテです。

みんなユサール騎兵の恰好をして、肋骨飾りの服の上にプリスを着て、

サーブル・タッシュをつけていて、華やかです~。激萌えです~。

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今まで、図でしか見たことなかった騎兵隊ですが、

動いているのをみて、なるほど、なるほどと感心してみていました。

それはともかく、

しかも!

監督がかの有名なリドリー・スコットというところが

ビックリです!

あの、「エイリアン」の監督ですよ。

このデュアリストっていいうのは、エイリアンをつくるひとつ前の

映画ということです。

う~ん、スコット監督になにがあったんだ?っていうくらい

作品の質が違う~~。

あ、でもこれがスコット監督のデビュー作らしいですね。

まぁ、監督って扱う素材が違えば、また逆に素材に見合うスタイリッシュな画像を

作りたくなるものだから、それはそれで納得です。

初めは1800年から始まるのですねぇ。

このころの軍隊はまだ、旧体制風ファッションが主流みたいで、

びっくりしたのですが、騎兵隊の将校のヘアスタイルです。

まぁ、なんとなく、ロン毛を後ろでおリボンで結んで、

サイドの髪はローリングして~、っていうのはなじみのあるヘアスタイルですが、

騎兵隊の人間は、サイドの髪を三つ編みしていた!っていうのが

 なんか新鮮でした!

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でも、ナポレオンが皇帝になるあたり、1810年ぐらいになると、

流行が変わったというか、世の中の意識も変わっていくらしく、

髪の毛はロングにしなくなるんですね~。

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主人公のデュベールも途中で髪の毛を切っています。(でも、ローマ風に刈り込んでいなくてちょっと長い)

話は…。

1800年の第7騎兵隊の時代。

ストラスブールに駐屯していた第7騎兵隊に、

フェロー中尉という、きわめて決闘好きの男がいました。

本当は、軍人は決闘をしちゃだめっていう規則があったのに、

なんとフェローはそこの有力者の息子と決闘して重傷を負わせてしまう。

部下の不始末を聞きつけて激怒した将軍は

主人公のデュベール中尉にフェローを謹慎処分にするということを伝えて来い!と

命令します。

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将軍ファッションも渋い!!!

しかし、単なる伝令役のデュベールに対し、フェローは「謹慎処分」にされたのは

お前のせい、といって逆恨みします。

バカとは会話ができないという典型です。

すぐにまた、「お前と決闘する!」とフェローは激高します。

ここで、受けて立つと自分だって軍紀を犯したことになり、

自分の立場が危うくなることを知っているデュベールは

決闘することを固辞するのですが、アホなフェローはどうしても返してくれません。

諦めて決闘するのですが、

賢いデュベールにフェローはどうしたって負けちゃうんですよ。

初めは剣で、

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次は馬上で、

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最後は銃でって

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何回やれば気が済むの?

それに、デュベールはフェローに対抗心ももってないしね。

しかし、いつまでたっても、フェローは和解することをかたくなに拒み、

なにかあるごとに決闘を再開させようとする。

さて、時代は過ぎ去り、キレモノのデュベールはそれなりに

ナポレオンのロシア遠征にも辛くも生き残り、あまつさえ王政復古の世の中になっても、

世の中をうまく泳ぎ渡り、めでたく旅団長(日本風に言えば、少将)にのぼりつめました。

長らく戦い一辺倒で生きていたデュベールですが、姉さんが持ってきた縁談を受け、

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キース・キャラディーンの手足が長くて優雅なこと!
もう、美しすぎて震えます!笑

幸せな家庭生活を送ります。

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 ウェディング・ケーキをカットインするときは
自分のサーベルでカットよ。
やっぱり、手も美しくてセクシーな
キース・キャラディーン!
紺サージの上に金糸の刺繍が見事な将軍ファッションも素敵!!!!
あ~、こういう素敵な将校さんとなら
あたしも結婚したいかも!
(旧日本陸軍はいやです)

さてもうすぐ妻が月満ちて初産をしようというまさにそのとき、

しつこいフェローはまた、挑戦してくるのです。

しかし、デュベールは今や父親になろうとしているのです。

それに妻もいる、そして一人娘の妻の舅もいます。

いまやデュベールには一家の長としての責任があります。

ここはどうでもフェローに勝たなければならない。

デュベールは誰にも告げず、フェローとの一騎打ちへと向かうのでした!

・・・・とまぁ、ありがちな話ですが、

それなりに面白かったです。

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このデュベールをやった俳優さん、まったく知らない人で

キース・キャラディーンという人なのですが、

わたくしのストライクゾーンど真ん中という、すっごいハンサムな人です。

なんていうのかなぁ、いかにもイギリス男って感じ

(とかいいつつ実はアメリカ人 要するにアングロサクソン色の強い人)で、

レイフ・ファインズとかジェレミー・アイアンズみたいな

ものすごく手や脚が長くて、肩幅もあって、首なんかも長くて、

って感じのハンサムさんです。

どういうのかなぁ、前も『シェリ』のルパート・フレンド見て思ったけれど、

こういう人って絶対にイギリス人なんであって、フランス人には見えないんですよね。

イギリスとフランスって近い、と思うけど、

イギリス人って実は北欧に近くて、フランス人って南のローマ寄りの人種なんだなぁと

思ったりします…。

フランスを描いた、イギリス映画なのでありました。


無垢な少女の娼婦  pritty baby [読書&映画]

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だいぶ、昔の映画を見ました。

ブルック・シールズの出世作、ルイ・マル監督

「プリティ・ベビー」

この映画は、アメリカ映画らしいですが、

舞台はニュー・オーリンズで、少しフランス風なんですよね。

で、監督さんもフランス人なんで、

昔のフランスの娼館である「メゾン・クローズ」の雰囲気が

よく出ているなぁ、と見ていて思いました。

パリ、娼婦の館  メゾン・クローズ (角川ソフィア文庫)

パリ、娼婦の館  メゾン・クローズ (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 鹿島 茂
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 文庫


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そして、身体をひさぐ商売で、ギスギスしている女たちばっかりいるのかなぁ~

と思いきや、舞台の裏側を見ると、

女将がいて、身体を売る女がいて、作男もいて、料理女もいて、

男に身体を売っているわけだから、当然、その結果として

子供もうろちょろしているわけで、

案外、こうふわ~っと家庭的な雰囲気もある。

これはモーパッサンの『テリエ館』を読むとよくわかる。

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まぁ、そういうフランス風な感じが濃厚な娼館が舞台となります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そこにまだ大人でもなく、子供でもない12歳の少女、ヴァイオレットが住んでいます。

彼女は、娼婦の母親から生まれて、この館で育ち、この世界以外のことを

知りません。

男に身体を売ることが、賤しいことだとも別段思っていないし、

そういうのがごくごく当然で、自分も将来は母親やここの仲間の姐さんと同じように

娼婦になるんだろうなぁと思っているんですよね。

でも、あるとき母親のほうがパトロンを見つけて、娼館を後にする。

堅気になれたわけなんです。

でも、外の世界をしらないヴァイオレットは母親と一緒に

パトロンの家へ行くのを断固拒否する。

そして…、あるとき、初物であることを付加価値として

客の前で競りにかけられ、なんと一晩400ドルの値をつけられて

中年の男に破瓜されてしまうのですね~。

そういういたいけなヴァイオレットを放置できなくて、

全うに育ててやるには、夫婦になるしかないと思い、

娼婦を撮る写真家の男に引き取られるんですね。

でも、あるとき母親が迎えに来て、

「まだ年端もいかない娘に対して、

親の同意もないこの結婚は無効だ!」っていって、

むりやりその写真家から娘をかっさらっていくんですよねぇ。

最後は良家の子女ふうな恰好をさせられて、

駅のプラットフォームに立つ、ブルック・シールズですが

良かったね、っていう気持ちにはなれず、

「なんて痛ましいんだろう」ってしみじみするんですよね。

この子は、今まで世の中の裏の裏まで見て来て、

今更、まっとうな世界に戻っても不幸になるんだけなんだろうなぁ、みたいな。

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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それと同時に当時11歳のブルック・シールズですが、

まだ、大人の世界もよく知らず、実際はもっと夢見るような

親や、友達などで幸せにくらしているような年頃なのに、

こんなすごい映画で全裸になって、ものすごい大胆なポーズをとらされているのが

本当になんというか、痛ましいんですね。

劇中の少女娼婦のヴァイオレットも

それを演じているブルックも

やらされていることの本当の意味もわからず、

微笑む顔ざしのなんと無垢なことか…。

それがもう、絶世の美少女ですから、よけいです。

後年、ブルック・シールズは、やはり幼児虐待を受けた、

マイケル・ジャクソンと仲がよかったそうですが、

やはりね、こんなロリータ趣味の映画に出させる親の良識みたいなもの、

なんだか疑ってしまうんですよね。

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子役と言えども、やはり心はありますからね。

そのときは言語にできなくても、

受けた心の傷はあとになってうずくはずです…。


ギャラントリーとはこういうもの? 『花咲ける騎士道』 [読書&映画]

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今日はなんというか、ガンガン行ってみたい気分なので、

最近見た映画の中でお気に入りのヤツをひとつ。

それは『花咲ける騎士道』ですね!

これって本当は1952年にも、かの伝説の美男、ジェラール・フィリップが主演したものの

リメイクなんだそうです。

わたくしね、実はこのジェラール・フィリップ版を見に行ったんだけど、何とお恥ずかしいことに

途中で寝ちゃったんですよ。

以前、ギヨーム・ドパルデュー主演の『ヴェルサイユの子』のときも

意識がなくなってたなぁ。

画面が暗いとね、なんかダメ見たいですわ~。

若いとき(いやね、こういうこと言わなきゃならない年回りなのね…)は、

もっと私も切れてて、そんなこと絶対ありえなかったんだけど、劣化したんだわww

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

これね、監督は違う人だけど、製作・脚本がリュック・ベッソンなの。意外だわ~。

リュック・ベッソンは『レオン』といい、『ジャンヌ・ダルク』といい、

わたしのストライクゾーンど真ん中という監督さんで本当にスキスキスキなのよ~~

このフランスのアンシャン・レジーム臭漂う、知と痴のまじったおバカかげん。

絶妙だわ! フランス人にしか作れない映画だと思う。

それにね!主役のファンファンがヴァンサン・ぺレーズなのです。

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(あ~、『王妃マルゴ』のときのラ・モルのヴァンサンは死ぬほどセクシーだったっす)

もう、目だけで女を妊娠させることができるという噂のドハンサムさんです。

(とかいって、微妙に頭が寂しい気がするのは、わたくしの眼が老眼なせいかしら~)

しかし、このファンファンの役はそういう彼の冴えたカッコよさというより、

お茶目なところが強調されていてとてもかわいい。

でもね、途中途中で剣を交える殺陣があって、

途中でひゅんひゅん、って剣を宙で切ってなんかかっこいい。

アクションシーン、てんこ盛りです。それもうれしいんだよね。

あと、相手役のジプシー娘に、これまたスペインの超弩級の美女、ペネロペ・クルスですね。

ちょっと気がついよいけど、一途な娘がすごく似合っていました。

これさぁ、この映画のキャンペーンのときに、ペネロペ・クルスが着用していたものを

神田うのが来てたんだけど、本当に似合ってなかった!

あ~、神田うのもスタイルよいのになぁ、やっぱりこういう服は着る人を選ぶんだぁとか

思ったかな。

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しかし、フランスを舞台にしたこの映画の主役ふたりには、フランスの血は一滴も

流れていなかったのでした…。(笑)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このお話は、なんていうの、あってないような、ま、いわば一種のおとぎ話なんですねぇ。

これさあ、ボケーとみていると、あ、王さまか、どっかの身分の高い侯爵夫人か、

王さまの娘か、戦争か、で日本人は流してしまうけど、そうやってバックグランドを

知らずにみるのはもったいないですよん。

これはね、たぶん王様はドハンサムで有名なルイ15世なのです。

そして、身分の高そうな侯爵夫人はポンパドゥール夫人です。

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王さまの娘は、王妃マリー・レクチンスカヤが生んだ王女ですね。

そして、劇中で起こっているのは、七年戦争です。

これだけわかっていると、なるほどなるほど、と結構面白く

その時代を観察できるというものです。

七年戦争というのは、ちょっとややこしくて、

オーストリア継承戦争のあと、シュレジェン地方をプロシアにうまうまと取られてしまった、

オーストリアが長年の不倶戴天の敵であったはずのフランスを含め

ロシア、スウェーデン、スペインと組んだのです。

対して、プロシアと組んだのは、イギリス、ポルトガル、あとよくわかならい聞いたこともないような

どこにあるのかもわからないような小国ですね。

ルイ15世はもう、本当に女だけに興味あった人で、戦争は全く音痴だったようです。

元帥に「世の軍はどれじゃ?」

と尋ねても元帥もボケなので、「え~っと、どれでしたでしょう?」

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誰も答えられるものはいないというスカぶり。

一方、風来坊のファンファンはあっちこっちの娘に手を付けて、

その父親に「これ、責任とって結婚せんかい!」と追いかけまわされてばかりいる男。

もうすごく男前なので、振り切っても振り切っても女がわらわらと寄って来るんですよね~。

まぁ、話し自体は語るほどのこともないので、

実際見てみれば、面白いかな。

ただ、やっぱり特筆すべきはファッションですかねぇ。

ポンパドゥール夫人はかの有名はリボンがだーっとついた「階段」と呼ばれる

ローブ・フランセーズみたいなのはお召しになっておられませんが、

とても素敵。

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ファンファンのアキテーヌ連隊の空色の軍服もカワイイです。

敵側のプロイセンの王様がバカボンのパパそっくりで大笑いできます。

いつも、こういう本物のフランス映画を見ていて思うんだけど、

貴婦人という方は、日本の武家の奥方とはまたちょっと違った威厳があるんですねぇ。

フランス女性というものは、エレガンスを、そしてその上にコケットリーというものを

必ず身に着けていなければならないんだと。

一見、バカみたいに見えてしまっても、それは演技なのですねぇ。

本当はすごく鋭い。だけど、ふんわりと可笑しさがただようしぐさは見惚れてしまうばかりです。

やはり、こういう春風駘蕩という体ですと、

男もギャラントリーを磨かなければなりますまい。

タレーランは『革命以前を知るものでなければ、本当の楽しみを到底わかりえない』と言ったそうですが、

ある意味本当だと思う…。


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